2003年 6月22日 マダライルカがストランディング


場所:沖縄県竹富郡竹富町(竹富島西桟橋脇)
若いマダライルカが浅瀬で動けなくなっているのを散歩中の観光客の方が発見。

全長173cm 背びれ高17cm 尾びれ幅38cm 吻先から基部29cm 胴周61cm 
推定体重45kg。
種:子供のマダライルカ(下顎部に少しマダラ模様がある)

呼吸回数 2〜3回/分、心拍数:約110〜80回/分
排泄、排尿(ともに黄色)が頻繁に見られた。救護時だけで計10回以上。
ダルマザメによる真新しい咬傷が排泄孔左上部に1カ所(出血)。
吻先、背びれ先、背びれ基部に浅く軽い擦過傷。

※経緯
6/22(日)8:00頃、竹富島を観光中の観光客の方が、朝の散歩中に同島西桟橋においてマダライルカ1頭が浅瀬で衰弱状態で動けなくなっているのを発見。
08:30にイルカ&クジラ救援プロジェクトに連絡が入り、竹富島在住メンバーに連絡。
代表他数人の石垣島在住メンバーも向かう。
現場09:50着
到着時、竹富島に帰省中の高校生、観光客、島民の方々が、浅瀬での保護。
症状として、呼吸の乱れや鼻腔からの粘液状のものが流出、出血、苦しそうな状態だったとのこと。
また、一時、腰ぐらいの深さまで連れて行き泳がせたが、少し泳いですぐに横倒し状態になったとのこと。
以降、イルカ&クジラ救援プロジェクトメンバーが加わり救援活動を行う。
紫外線、乾燥からの保護、落ち着かせることに重点を置き、浅瀬でしばらく様子をみる。
約30分後、浜から100m、水深約1m、解放状態で様子を見るが、自力遊泳後、しばらくして波打ち際に自力で戻ろうとする。
数回これらを繰り返し、約11:00、さらに100mほど沖に移動し、自力遊泳させるが、大きな左旋回を繰り返し、浜近くで沈んだままの状態になる。
救助後、さらに深場に移動し、自己遊泳させるが、同様にぎこちない大きな左旋回を繰り返し、必ず救護者の近くで底に沈んだまま、または、横倒し状態になる。
(その状態を確認し、救助に行けるまで約20秒以内の場所)
◎このマダライルカの場合、背ビレや下顎を支えても動こうとしないが、胸(胸ビレのあいだ)を支えるようにすると、自力で泳ごうとする現象(フィンキック)が見られた。
また、近くをジェットスキー、船が航行した時はやや興奮状態となった。

再度、回復を待つために、しばらく介護者がつき保護する。
13:15、島民の方の船を借り、ブルーシートで船の側面に2人で固定しながら、深場へ移動。
浜からの距離約1.5km、水深約2mで解放する。
今までより遊泳力はかなり強く感じられるが、依然、反時計回りで大きな円を描きながら浅瀬の方へゆっくり移動してしまう。
14:10、再度、船側面に固定し、さらに沖に移動。
水深約10m、浜からの距離約3kmの地点で解放。
かなり力強く泳ぎ、普段のようにしばらく潜水しながら南西方面に自力で遊泳。
追尾不能となる。

たぶん単独になるのは生まれて初めてのことで、しかも、体力が弱っているものと思われる為、その後の行方が心配。

近辺でそれらしきイルカを見掛けられましたらご連絡の程、お願いします!

 今回も、多くの方にご協力いただきました。ご協力いただいた方々、ほんとうに有り難うございました。

11日後の7月3日この場所のすぐ北側、名蔵湾で北上の途中と見られるマダライルカの群れ約100頭が数時間に渡り目撃されました。
きっと、この個体もこの群れに加わっているものと思います。


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