2004年 7月 5日 西表島月ヶ浜におけるオガワコマッコウの座礁


 今回のストライディングにおいても沢山の方が、2頭のオガワコマッコウを助けたいという気持ちで
あちこちに連絡をとって下さったようです。

経緯
5日17:00頃、「2頭の親子らしい鯨が座礁し、波打ち際で弱っているのでどうすればいいか」との
連絡が入る。
海が時化ている。日が暮れてきた。ということもあり、20:00頃、救助作業をいったん中断するように
指示させていただきました。
6日、朝浜に行くと親が死亡し打ち上げられ、子供は近くの波打ち際で衰弱状態との連絡。
ニラカナイのビーチスタッフが子供を11:00頃カヤックで沖に連れて行き放す。そのまま泳いでいった。

※今回も、彼らに力を貸していただいた方々、努力していただいた方々に、私たちから代わって
 お礼を申し上げます。ほんとうに有り難うございました。

座礁鯨類測定データ No,040706
座礁発見日時 2004年 7月 5日 16:30  
座礁した場所 西表島月ヶ浜西端    
発見者 マヤグスク 山下氏 連絡先  
調査日時 7月 6日 14:00    
種類 オガワコマッコウ    
座礁した頭数 2頭(母子) 見掛けられた頭数 2頭(母子)
状況 発見時、波打ち際に母子と思われる2頭が座礁。発見者ら数人が救助を試みるが2頭ともすぐに波打ち際へ。やや沖で放すが同様。夜になり中断。翌朝、母と思われる個体が座礁し死亡。子供と思われる個体はニラカナイ前の波打ち際で生存。スタッフ他が、しばらく浜で様子を見、11:00頃カヤックで沖に連れて行き解放。夕方時点同個体の発見確認なし。 
体長 230
(種の標準) 220〜270
ヒゲ又は歯 下顎のみ各6本(残各1)
ダルマザメ咬傷痕 新旧各1ヵ所(右体側)
尾ビレの状態 正常
傷の有無 目立った外傷なし
眼球の状態 左眼球なし
定置網の有無 周辺になし
河川の有無 浦内川河口
地形 河口域外の遠浅砂浜
その他 胃内容物は海水のみ
体測データ  
先端〜尾ビレ中央 230
先端〜口角 22
先端〜呼吸孔 19
先端〜目 25
先端〜胸ビレ手前付根 48
先端〜背ビレ先端 129
先端〜生殖孔 168
先端〜肛門 174
背ビレ基部幅 24
背ビレ高さ 13
胸ビレ長 32
胸ビレ最大幅 12
尾ビレ幅 64
胴半周(背鰭の後ろ) 61
※先端とは上顎・下顎・頭部のうち最突出部
単位はcm

この場所では、2年前の8月にも、同じ種が全く同じ場所で、同じ事が起きています。
単純に推測される原因には、、、

○病気を治すために淡水が混じるこの海域に入り、衰弱しての死亡。(胃は空っぽだった)
○仲間川から鉄分等を含んだ土や砂が流れ込んでいて、磁場が正常ではない。
○シケが続いていたため、子連れの親子が避難していて、透明度が悪く、遠浅の影響で
 エコロケーションシステムが正しく働かず、パニック状態に陥った。
○八重山周辺海域にはダルマザメが多いようで、座礁した鯨類のほとんどに新しい咬傷痕が
 みられる。捕食中などに噛まれて浅瀬に逃げ込んできた。
○捕食しようとするアオリイカなどを深追いしすぎた。
が、挙げられます。


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