八重山周辺海域の海水温変動と考察


以下の内容を掲載しています。

○ 各年の八重山の近海状況

○ 2001年以降の海況等
○ 2000年の年間に渡る礁池、及び礁外縁部の実測海水温
○ 1998年8/22日から8/23日に計測した潮の干満による礁池、礁外縁部の海水温変動
○ 1998年(主に海水温上昇による白化現象が見られた年)の海水温変動

  海水温測定共通データ:主な測定地:沖縄県石垣島米原周辺海域において実測
                  測定温度: 数カ所の平均、または特異ではないと思われる場所で計測
                  年間を通し同計測機器を使用

  ※ 海水温について・・・( )内に水深表記のないものは、表層〜-3mまでの海水温


     サンゴ礁域断面図

     ※現在の沖縄のサンゴ礁形態はその規模からすると"準堡礁"と呼ばれる成長途中のものと見なされていますが、
      ここでは、人間や魚類生活型から、あえて堡礁タイプとしてしています。


最近の海・環境 情報(主に八重山海域)

○2016年

1998年、サンゴ礁域に世界的な白化現象が起きたとき同様に、太平洋西部および沖縄近海、GBR周辺では冬期から高海水温が続いている。
エルニーニョからラニーニョへの移り変わりの時の現象のようだが、夏期まで台風が少なく、高海水温が続き、サンゴの大規模白化の危険性がある。
八重山周辺海域は、この冬から猛烈な勢いでミドリイシ類が発育、成長を見せているが、この後の変遷が気に掛かるところだ。

 
4/16米原礁原部 昨年見られなかったミドリイシ類が見られる 4/16米原,完全に死滅したと思われたハマサンゴが回復し始めている


○2013年

・奄美諸島で7/1日ミドリイシが放精放卵
・沖縄本島西海岸で5/31日ミドリイシ類が産卵(放精放卵)が確認される。
・石垣島、慶良間諸島で4/29日ミドリイシ類の産卵が確認される。
 今年、サンゴはかなり不規則な放精放卵をしている模様。
 
・5月下旬 石垣島桴海で白化現象。 大潮干潮時ほとんどが干出する部分のみ。
 表層海水温がすでに29℃以上(例年比約+2℃)。降雨も少なく気温が高め、台風も発生しない状況が続いている。
 礁干出部(礁原)において、ミドリイシ類、石灰藻類の白化現象が見掛けられた。 5/29日・6/2日撮影
・5/29日 4-5月桴海(米原)海域内で見掛けた範囲とその中に棲息するオニヒトデ
       昨年春頃から異常発生は終息し、サンゴ礁環境のセンサー(環境監視)役のオニヒトデのみが約200mおきに生息するものと思われる。
       
米原キャンプ場に流入する河川から大量の土砂が海に流出している。礁池のかなりの部分が砂に埋められはじめている。
     

 



石垣島米原キャンプ場沖
赤い枠内が捜索区域
    2013年4月〜5月
2カ所の枠内にセンサーの役目をする1匹ずつ生息しているのを確認。

礁縁,外縁部ではスポット的に水中を捜索(ほとんどは海水面からの視認観察)。

・5月27日18-19時頃 石垣市大浜海岸(太平洋側)でサンゴの産卵臭。
・5月7日17-19時頃 石垣島大浜海岸(太平洋側)でサンゴの産卵臭
(ツツウミヅタが放精放卵か)。

・1月中旬 石垣島周辺海水温やや高めで推移
 東シナ海側表層海水温23.5℃前後。
・これから回復に向かおうとしているサンゴ礁域の陸側では大規模な土地開発
 回復に向かおうとしている石垣島米原キャンプ場周辺で大規模な土地開発が新たに行われている。
 昨年海浜の開発で大量の砂がサンゴ礁域に流出。今年に入り低地の泥質を掘り起こしているので、更なるサンゴ礁への
 ダメージが追加され、回復に向かうと考えていた米原周辺のサンゴ礁が危機的な状態になっている。

○2012年

・8月中旬、石垣島東シナ海側米原・桴海では平常に戻っている。
 
既にオニヒトデの異常な発生は終息している。
 昼間に、礁外縁部・礁原部・礁池部のサンゴが生息している部分を探してみたが、オニヒトデ見掛けられったのは1匹のみ。
 平常時にサンゴの裏で休息しているパイロット((センサーの役目)平常時、かなりの間隔をおきサンゴ礁域にポツリポツリと
 1個体で生息している成長したオニヒトデで、サンゴを部分的に少しずつしか食べていない)が見掛けられるのみ。
まるで大海原のオアシスのように礁原部に広がるエダミドリイシ等のサンゴ 岩の窪みにセンサーとなるオニヒトデが1匹。
すぐ前のエダミドリイシの一部だけを食べていた
写真中心にオニヒトデが棲息しているが周囲にサンゴの食痕は見られない。

 この辺りではサンゴが生育する場所が減り、部分的にサンゴが密集している部分にシュノーケルする人が集中している。
 その為、夏の期間に枝状やテーブル状、板状のサンゴがかなり折れたり砕けたりしている。
 サンゴが増える手段でもあるのだが、固定されないサンゴは死滅してしまうので、そのようなサンゴは岩のくぼみ等に差し込む
 等の固定をしながら増殖を計っている。
 (これまでも行っていますが、現在、生きたサンゴの被度がかなり低下しているので、少しでも回復を早めるために重点をおいて
 行っています)

・6月7日20:30-、石垣島太平洋側南部でサンゴの産卵臭 
月齢17 中潮
 
真栄里、大浜では翌日までサンゴの産卵臭が残る(多量に産卵したことと南寄りの風が原因だろう)

 産卵の時期がバラバラ。5月は月齢19日ぐらいに産卵し、その後も種ごとに産卵しているのだろうか。
 沖縄本島西部海域では5月末の小潮で産卵していたとのこと。

 
・米原(桴海)礁斜面ではオニヒトデの数は平常時に戻っている 2012年5月
 
礁斜面及び礁池部のオニヒトデ多量発生はすでに収束。礁斜面部のサンゴはかなり傷んでいたようで、
 ほとんどの(90-95%)サンゴは食害やそのほかの要因で一時死滅状態に。
 礁原部及び礁池部のサンゴはほとんど食害されていない。またそれら以外の悪影響もあまりないように見え、多種の生息が
 見られる。
 海草、海藻類の種類の減少に伴う貝類の減少が気に掛かる。
 多くのサンゴは、陸域からの悪影響をあまり受けない場所において、この後一気に再生をはじめるだろう。
 
すでにオニヒトデが見掛けられない(石垣島米原
) 2012/2月

 昨年末、米原南西部に方面に群れている姿が見掛けられたが、礁外縁部を3〜400m探してみたが1個体しか見えない。
 勿論、岩やサンゴの陰に潜んでいると推測されるが、真新しい食痕も見あたらなかった。
 どこかに移動したのか、死滅していったのか、冬眠同様に活動を停止しているのか現在は不明。
 昨年オニヒトデが通り過ぎた場所は、見事にカエンサンゴ(ファイヤーコーラル)はそのほとんどすべてが食害を免れていて、
 それ以外にも数種のサンゴは食害を免れている様子がうかがえる。
 '97〜98年に起きたサンゴの大規模な白化現象時はほとんどのサンゴが死滅したように見えたが、それから比較すると、
 まばらに数種のサンゴが生き残っているのが見られる。
 またミドリイシでさえ一部生き残っているのが見掛けられる。
 そして、礁原部、礁池部にオニヒトデが数匹進入していた姿が見掛けられたが、その影響は皆無(平常と変わりなし)といえる。
 礁原部は例年と変わらず春に備えて活発に生育している数種のサンゴの姿が礁外縁部の多くが一面灰色の現状とは対照的。
 
 冬期は泳ぐ人が少ないためか、以前のようにカクレクマノミを見掛ける率が高くなった。
 10年以上前、島人のおじいなどが浅い場所でカクレクマノミをタライに100匹以上捕獲していたのが思い起こされる。
 また、礁外縁部において例年に比べ魚種が少なく感じる。
 個体数が少ないためか、2月にブダイの仲間が産卵(放精放卵)しているのが見掛けられた。


礁原部には命の源が生育を続ける

ほとんどのカエンサンゴはそのままなので、やけに目立つ

ほとんど見掛けられなくなっていたカクレクマノミが戻ってきている
※温暖化や海面上昇への適応
 海面上昇が起きているならば、それに見合った勢いでサンゴ礁は成長しなければならない。
 勿論人間には感じられないぐらいのゆっくりとしたスピードだが、地球や彼らにとっては、ものすごい早さで環境を変化させ生育を続けていく。
 その方法は、化石や八重山では陸にたくさん打ち上げられている津波石を見ることで、サンゴ礁のシステムが見えてくる。
 
 桴海においては開発がほぼ終わったようで、陸域からの影響は少なくなる為回復が望めるであろう。
 しかし、その南側の吉原や山原地区ではいぜんとして開発、整備が続き、その辺りのサンゴや海洋生物も減少の一途の様子。
 オニヒトデもその辺りに現れる(移動)するものと思われる。

 
○2011年

・オニヒトデがいまだに活発な行動(石垣島米原) 2011/7月末
 数年前に石垣島の陸の植物が過渡期、更新期であったように,サンゴ礁域でもその必要があり,更新期となってしまってた。
 強靱で奇跡的な成長力を持つサンゴが育つサンゴ礁を保ち、サンゴ礁が成長していくためには、傷ついたサンゴは淘汰され
 なければなりません。
 自然の中には,幾つかその方法がありますが,今回は非常手段に近いオニヒトデによるサンゴの一掃という方法で行わなければ
 ならなかったようです。
 私達は、その原因はいったい何だったのかを突き止めるのが第一。決して責任を他に置き換えてはいけません。

 自然回復力や浄化力を私達の活動(陸域の開発,土壌汚染,農薬使用や有機質の大量流出など)が越えていなければ,
 1998年のサンゴ大規模白化現象から再生したように、数年後にはまた素晴らしいサンゴ礁が形成されることでしょう。

 また、台湾や中国から来ている観光客が食用できるナマコを捕獲しているとのこと。
 ひどくなると更に海洋汚染が進行する可能性がある。 

 表層海水温は約29℃,例年よりやや低めで推移している模様.

・7月末,石垣島米原礁縁部においてオニヒトデは以前かなりの数が生息。
 水深5m前後の礁外縁部に目立つ。多く生息する場所,していた場所では98%以上のミドリイシが死滅しているように見える。
 少なくなったミドリイシ類に群がり,ハナヤサイサンゴ等も食べられているものがある。
 ミレポラ(アナサンゴモドキ)に対しての行動を調べてみると,個体により差があるが,その毒を嫌っていることが分かる。
 ミレポラを食べているオニヒトデは見あたらないが,病気のためか,食べられた為か一部白化、崩れたり部分的に死滅しているミレポラは
 見掛けられる。
・オニヒトデのほとんどはミレポラを避けているのが見掛けられる。何度かミレポラにオニヒトデを置いてみたが,弱い内蔵を守るために
 丸くなったり,体を浮かせるようにして移動するのが見られた。
・オニヒトデの群体の近くに生息していたソフトコーラル類,アナサンゴモドキ,ハマサンゴ,キクメイシなどは食べられていないものが多い。
 しかし、食害を受けた場所に生き残った個体であっても、その後それらのサンゴも生き残れず死滅しているものがほとんど。

・オニヒトデは、礁外縁部に集中し、礁原(礁嶺)や礁池部には進入してきていないようだが,多くのサンゴ同様に強い紫外線や高温を
 嫌っているように見える。淡水が流れ込み塩分濃度等が低い場所では、その影響は問題なく活動していた。
・どうやら無数の棘は外敵から身を守るためというより,無防備で弱い腹部側を守るためにあるようだ。オニヒトデを持ち上げてみると
 腹部を守るため,即座に体を丸くしてボール状になり,ウニのようになる。
 しかし、しばらくするともとの扁平状態に戻り移動をはじめる。ミレポラ(カエンサンゴ)を食べている状態を見たことがない。
・カエンサンゴの上で動かないオニヒトデを1個体だけ確認。移動中のオニヒトデは必ずカエンサンゴを避けながら通っていた。


 写っているだけで約20個体のオニヒトデ

残り少ないミドリイシに群がっている(食跡を見るため突っついた後なので嫌悪色)

ハナヤサイサンゴも食べていた

かなり大型になってきている

強毒を持つミレポラの上に置くと,体を丸くし,体ができるだけ接触しないように移動する.

体色をグレー(嫌悪色)に変え,ミレポラに触れないように腕を上げて移動している.

・ようやくウミガメが産卵
・7月、これまで上がった形跡がなかったが、石垣島米原に今年初めてであろうウミガメの産卵が見られた。
 今年は上がっていなかったようたが、7月末になり産卵に上がった様子。
 浜のかなり上部に産卵しているので、この後も強い台風が来るであろうと思われる。



・6/18日、石垣島大浜で23:30過ぎにサンゴ等の産卵臭が漂う。
・5/31日、台風2号通過2日後、風雨が強かった石垣島西側の米原のサンゴ礁礁縁部は、オニヒトデの数はかなり減り、5m辺りを中心に
 チラホラ見掛けるだけの状態で、オニヒトデによるサンゴの間引きは収束したものと考えられる。
 見方や場所にもよるが、生きたサンゴの被度は、5〜20%。ダイオウサンゴ、ハマサンゴも一部のサンゴ虫が死滅しているのが多く見掛けられた。
 カエンサンゴ、ソフトコーラルの仲間は台風の影響で痛んでいるものがチラホラ。

・5/19日20時頃太平洋側でもサンゴの産卵臭が漂う。
・5/17日ミドリイシ類のサンゴが放精放卵。
 前日にかなり降雨、17日も雨で月の光も一切見えない状況。
 例年と同じ月齢、潮時の放精放卵(産卵)。

・4月下旬、石垣島太平洋側の大浜サンゴ礁礁原部
 昨年、一昨年に続き今年もサンゴはおろか石灰藻類も白化している。(毎年旧暦3/15日前後観察)
 2011/4/21石垣島大浜 最干潮時の礁原部
 1年に数回、この時期しか干出しない部分で、サンゴは白化からの回復は見られず、石灰藻類等の白化、その他の海草類の死滅がここ3〜4年続いている、

 農薬、除草剤の大量使用や陸域の開発による影響だと思われる。
 そろそろ竹富島南にサンゴの病気が見掛けられるようになっているらしい。

 また、昨年より更にアカショウビンの飛来は少なく、様々な生物の活動が不活発な状態。
 植物は年々活発になりつつあるが、今年はこの島でも自然災害などが起きるのかもしれない。

 
 
海水温の変化と地震
 今年3/11日の東北大震災が起きる前の1月初旬から震源地である東北沖でスポット的に異常な海水温の低下が見られていたようだ。
 どれだけ地震と関係があり、これからどれだけ活かせるのかわからないが、自然からのメッセージと考えられるものかもしれない。
 4月末においてもっその状態が続いているので、まだ終息したとはいえない状況なのであろう。
 (気象庁の海水温 海流のデータで、平年海水温と比較すれば確認できる)
 
 
・4月中旬,今年は未だに冬の風が吹いている。強い北風が吹きぬける中、石垣島米原キャンプ場の浜にある壊れた東屋前辺りの
 波打ち際10mほどにカツオノカンムリ10個体が打ち上げられていた。その周辺を見てみたがその場所を中心とする両側100mには
 見られなかった。(寄り添うように流れてきたのか、発生源がすぐ近くなのだろうか)
 
 
・4月初め、水深−15m以下ではほとんどオニヒトデが見掛けられなくなっている。
 天候が良くなり表層水温が上がってきたことと、暖められた礁池内の海水温が干満にあわせ表層を暖めているため
 だと推測される。
 活動域は-5mから-1.5mが主体となっていて、それよりも浅い部分にも見掛けられるので、人が踏みつけケガをする
 危険性が出てきている。
 
 礁池内に入りそうな場所には見つからなかったがが、一部に食跡があることから、更に浜に向かう可能性もあるが
 浜から淡水も多く流れ込み、干潮時に閉鎖された礁池部では海水温が30℃以上になることがある。
 それらによって進入がストップされると良いが、進入してきた場合、注意を喚起しなければならないだろう。
 
 見た目の個体数は前回と変わらない。また単純に南下移動しているのでもなく、拡散しているようにも見える。

  泳いでいると、礁外縁部周辺のある場所で海水が緑色に澱んだ場所があった。
 記憶をたどってみると、1998年に起きた高海水温によるサンゴの大規模白化現象以降、夏場数年おきに起きている

 サンゴ礁の白化現象のたびにこの場所は緑色に澱んでいた。
 これまでは、それが夏場だったことから高海水温の影響で植物プランクトンが大量に発生しているものと考えていた
 のだが、サンゴから出てきた大量の褐虫藻によるもののようだ。
 
※濠の研究者の研究結果同様、数年前から開発が進み土壌等の流出や環境の変化が見られるようになり、サンゴ礁の
 環境改善とバランスをとるために起きたことだと考えられる。

  多くのミドリイシ類の場合、群体の一部が食害から免れても、ほとんどが完全に死滅しているように見える。
 この後、サンゴ礁にとって、陸からの悪影響がなければ一気にサンゴは回復し、サンゴ礁としての急成長が見掛け
 られるようになる。
 '98年の大規模白化現象からはこの場所では6〜7年でほぼ回復したが、陸域の大きな環境変化が起きているため
 どれぐらいの回復力が残っているのか分からない。しかし、これ以上の環境変化・悪化が起きなければ、この場所は
 必ずまたサンゴ礁として成立することでしょう。
 
  

折り重なるように群がっているのをよく見掛ける

かなり浅い礁原部にも見られる
 -10m前後ではほとんどすべてのミドリイシ類が死滅している
高海水温で大規模に白化した時と同様に90%以上のサンゴが死滅したように見える。
 

・2月、石垣島米原海岸沖(リーフエッジ)にも、ついにオニヒトデの異常発生が見られるようになってしまいました。
  2月末、久しぶりに礁外縁部を泳いでみると、どうやらダブルリーフあたりから南下してきている群れのようで、
 潮流に逆らって南に下って来ている模様だった。
 昨年春頃からパイロットと呼んでいる普段からサンゴ礁域に点々と生息しているオニヒトデが、その礁縁部では
 数が2-3倍に増えていて、異常発生の危機感は持たれていた。
 近年、この区域周辺でも陸域の開発が加速していて、有機物等の流出は増加している。
 これまで自然環境面ではこの周辺域や、さらに北部はサンゴ礁域のすぐ横に山が迫っていて、開発もあまり
 行われていないことから、他地域でオニヒトデの異常発生が見られても、増加は見られず、陸から海に至るまで
 より良い自然環境が残されているものとされていた。
 
  2月末現在のところ、礁縁部水深10-15m辺りのミドリイシが主体で被害にあい、オニヒトデもその辺りを南に
 向かって移動しているようだ。
 かなり多くの個体が移動してきているが、現在のところ'98年の海水温上昇によると思われる自然白化現象から
 比較すると、かなりダメージは少なく、ほとんどのオニヒトデはスポット的に、好み(食べる必要がある)サンゴだけ
 を食べている。
  2月末現在、集中して生息している部分から北側、これまで移動してきたと思われる場所を見てみるとマンジュウ
 ヒトデのように移動してきた場所のサンゴがすべて白くなり、移動経路がハッキリ分かるわけではなく、多くの個体
 が水深20-10m程のほぼ同じ経路をたどりながら、所々のサンゴを食べながら移動しているのが分かる。
 
  今のところ、礁縁部から陸側にはパイロット以外のオニヒトデは見掛けられないが、これから海水温が上がりだし、
 この周辺に居座り続けた場合、更に陸側への広範囲なサンゴ食害が見られるようになる。
 
2/27 石垣島米原海岸 礁外縁部 水深10-20m

卓状ミドリイシに群がるオニヒトデ
(見えるだけで7個体)-10m

定点観測しているサンゴ周辺は影響なし
-5m
主にミドリイシが食べられている -15m 無秩序に食べているように見える
珍しく移動経路がわかる食害跡 -13m なぜかハマサンゴだけを食べている -8m 卓状ミドリイシを半分(北側)ずつ食べている 通過跡のすぐ横に発達する卓状ミドリイシ


 

○2010年

・'09年末から年の初めにかけては海水温がやや低め。アオサが早く生育している。

2月頃から、石垣島の海岸沿いに多くの廃油ボールが流れ着いています。

・2-3月は気温が高め。それとともに海水温の上昇も早めになっているようです。

・ようやく石垣島の自然界は元気を取り戻し始めて来ている。昨年までの衰退期から発生・生育期へと
 変わったのが見える(感じられる)。

・4月に入り気温が例年より低めで推移。その後6月まで低めの日が多く続く。

・八重山周辺海域では、4月29日からサンゴの放精放卵が始まる。
 今年は予想されていたように、サンゴの産卵が分散している。

・八重山周辺海域で5月25-27日にサンゴの産卵。

・これまでほとんど見られなかったことだが、石垣島東シナ海側中部でもオニヒトデが傷ついてしまった
 遺伝子を持つサンゴをオニヒトデが食べた跡を多く見かけるようになった。
 その食痕のほとんどがサンゴ群体の全てを食べるのではなく、一部のみを必ず残している。
 6月初旬、新しい食痕跡周辺を探してみたが、オニヒトデは見つからなかった。
 米原礁縁および外縁部を全体的に見渡すと、被度は50/50、環境悪化要因で傷ついたサンゴが死滅し、
 新しくサンゴが回復していたり群体が発達している部分と、まだまだ回復が見られない部分がすぐ隣り
 合わせで存在している。(その要因は?!)
 米原礁池部は良好なサンゴ礁環境が保たれているといえる。

・6月8日,奄美大島でミドリイシの放精放卵(産卵)確認される。

・6月13日,石垣島太平洋側でスリックが漂流。干潮とともに帯は南へ流れる。

・八重山地方、6月17日実質的な梅雨明け。

・6/19日太平洋側の浜にスリックが漂着。
  20日夕から夜間にかけ,石垣島太平洋側でサンゴ産卵臭と同じ臭いが漂う。

・7月に入り、海水温の上昇傾向が1998年全国的にサンゴが大規模白化したときとよく似ています。
 6月頃少し低めで推移し、連日の猛暑で7月になり海水温が上昇しはじめ、台風ができにくいために
 海水温が下がらずに、日本やアジア太平洋側一帯の海水温が31〜32℃にまで上昇する可能性が
 出てきている。

・7月11日太平洋側でスリックが漂流。(サンゴ以外の生物の可能性もあり)

・これまで陸域からの汚染で白化していたサンゴ以外にも、この大潮干潮時、強烈な太陽光(紫外線)を
 浴びる被出サンゴ(主にミドリイシ類等の枝、板状サンゴ)が白化し始めている。(表層海水温は約30℃)

・7月14日19時過ぎ石垣島大浜でサンゴの放精放卵臭が漂う。

・8月1日20時過ぎ石垣島大浜でサンゴの放精放卵臭が漂う。

・昨年に続き、今年もハブクラゲの数が少ない。

・本州の関東から北の日本海沖、太平洋沖の海水温は、夏場から継続して3-5℃平年より高くなったまま
 だが、八重山諸島近海では9月初めから(例年より1ヶ月以上も早く)海水温が下がり始めている。

・9月の初旬にアオウミガメが産卵。産卵床はけっこう高い位置にある。

・9月10日19時過ぎ石垣島大浜でサンゴの放精放卵臭が漂う。(サンゴ以外の生物の可能性もあり)


'08-'09年冬期、原因不明で礁池内のほとんどのサンゴが一気に死滅した後、サンゴ礁環境の回復があまり見られない。
この場所では、かなり以前から恒常的な生活排水の流出があり、降雨後は多量の土砂・赤土が流れ出している。
石垣島大浜礁縁部 6月初旬

  
 
○2009年

昨年来、石垣島周辺海域のサンゴが、原因不明で信じられないほどのダメージを受け続けている。
白化現象、オニヒトデ等の生物による影響ではなく、主に陸からの汚染やサンゴの病気などが原因になっていると思われる。

1月初旬、石垣島の太平洋側で、ウミウ、コウノトリを1月になってから数羽見掛けるようになった。

・例年この時期はサンゴの回復期に入るが、今年は礁外縁部のサンゴが秋よりも更に死滅している部分が目立つ。
石垣島の東シナ海側、米原周辺海域では、生きたサンゴの被度が減少し50%を割っている部分が多くなっている。(写真@)
 米原キャンプ場南端の川からの土砂流出がヒドく、礁池が更に埋められている。周辺サンゴが死滅し、環境悪化に
 強いはずのハマサンゴのマイクロアトールが完全死滅している。(写真A)

・石垣島周辺海域では、カツオノエボシが極端に少ない(まだ見掛けない)。
 
@米原礁外縁部-2m A米原波打ち際から20m,水深-1m
・1月中旬、米原礁池部の海水温が21℃まで低下。礁外縁部表層22-23℃。
 秋に見掛けられていたイワシ、ナンヨウカイワリ、コバンアジの姿は見掛けない。
 近年ほとんど見掛けなかったグルクン(小型)の群れが戻ってきている。

・1月中旬、川平湾周辺でカツオノエボシが浜に打ち上げられているとの情報。


・2月初旬、米原礁外縁部海水温が22.5-23℃に上昇。(礁池内部、海浜部は21-22℃)
 礁外縁部のサンゴの死滅がさらに続いている。この1ヶ月で見掛け10-15%のサンゴが死滅し、更に水深10m以上の
 深さにまで被度低下が広がっている。
 サンゴの更新だと思われるが、近年の白化現象以上のサンゴ被度低下となっている。
 (カエンサンゴとソフトコーラルが目立つ)
・米原礁外縁部、今まで経験したことがないほどの静けさ。魚類がこれほどまでに少ないのは始めてのこと。
 (同年4月頃から魚類の種、数は回復に向かう)





米原礁外縁部-2m ’09/02
・4月末、夏の海水温上昇時に見られたのと同じように、干潮時に干出する礁外縁部(ピセ)が真っ白になっていた。(写真右)
 昨年の冬、礁池部のサンゴがほとんど死滅し、礁外縁部のサンゴが弱っているように見えていたのだが、いったい何事かと
 その場所に向かうと、その辺りのサンゴは90%死滅し、更に石灰藻類が死滅し、それらの石灰分が白く残っている状況。
 多くのサンゴが生育する水深0-30cm程の藻類、および主に軟体サンゴとハマサンゴを除く多くのサンゴが死滅。
 この時期のこのような状況を見るのは私は始めて。
 また、サンゴはこの時期でさえ群体の北側面が寒風で白化しているものが目立つ。
 抵抗力が弱っているようで、この後の動向が気に掛かる。
 春は藻類が繁茂し、ウニや甲殻類なども一斉に増え、それに続く生物も増加していくが、これら藻類の減少により、生物の
 稀薄性に繋がる可能性が大きい。
 近々放精抱卵するサンゴにとっては着床しやすい場所が広く提供され、以降のサンゴ礁発達のためには有利となる可能性
 も考えられる。
 (5月初め,米原でも同様に石灰藻類の多くが死んで石灰化していたが、こちらは例年とあまり変わりない程度)
・海水温が平年より0.5-1℃低め。5/8-9日にミドリイシが放精抱卵すると思われるが、多くの種がいっせいとはならず、ばらけ
 る可能性が大きい。

大浜礁外縁部 '09/4月28日撮影
礁一面がガレキ状態
 
・5/7羽根アリの発生(石垣島大浜・真栄里)
・5/8,16:00石垣島大浜で微かな生臭さ。ツツウミヅタが産卵したのだろう。
・12日,石垣島大浜で21:00過ぎに放精放卵したであろう微かな産卵臭。
・石垣島近海は12日から抱卵が始まった模様。
・25日,石垣島大浜で19:30過ぎにサンゴの産卵臭。
・6/13日,夜中から翌日明け方にかけ集中豪雨。周辺海域の海が赤く染まる。(写真下:大浜am10:30 小潮)
 宮良川、磯辺、大浜からの河川や下水から大量の赤土流出.。この中に見えない毒物である有機物,農薬等が混じっている。
 (写真 下)

・8月上旬台風接近以降、渡りが少なかったアジサシの姿をまったく見掛けなくなった。
・8/29日、小潮だが宮良・大浜・真栄里でスリックが漂着。 海水温30-31℃
 この夏は太平洋高気圧の張り出しが弱い(エルニーニョの影響も)。
 台風11号が遠くにあるためか、北東の風で秋めいている。
 珍しくこの時期からアレルギー症状も出ている。(避寒桜、クチナシの花が咲いている)

・9月初旬、台風接近の波浪で海水温が少し低下し、29.5℃と平年並みに。 
・9月11,12日連続で大浜にスリックが漂着。
・9月16日,東シナ海側の表層海水温30.5℃。
・9月18日,東シナ海側の表層海水温29.5-30℃(台風14号の影響で北からのウネリ)。 
・9月30日,東シナ海側の表層海水温28.5-29℃。
・相変わらず野ねずみ駆除用農薬が大量に使用されている。
 
・10月7日,夕方100羽ほどのアマサギが北風に乗り,南に飛んで行くのがみられた。(サシバはそろそろ終わり)
・10月15日前後、北風に乗り、夕方アマサギが群れ(30-60羽)で南に飛んで行くのが見掛けられた。
・10月16日早くもユリカモメが渡ってき、例年のように牧草の上をゆっくり何度も飛んで昆虫を捕食している。
・10月中旬,米原の浜際にはコバンアジ(6)が少なく、ナンヨウカイワリの数(40)が多い。60cmオーバーのアジも来ている。
 
 
大浜礁外縁部 '07/4月19日撮影
 

ほぼ同場所で'09/4月28日撮影
ほとんどのサンゴが死滅、藻類までもが白化している。
・12月初旬、海岸でカワウ3羽を確認。石垣島にカワウの群れが飛来する冬は寒くなるので、この冬は寒くなりそう。
・12月初旬,海水面水温23.5℃前後(例年比-1℃)、東シナ海側のカツオノエボシ発生は少ない模様。
・12月9日、大浜海岸のアオサがここ数日で一気に繁茂しだす。
夏に紫外線の影響で南側が白化しやすいが、冬期は夜間干出していることが多くなり、強い北風の影響を受け、サンゴ群体の北側が白化しやすくなる(左側が北側)。
 '09年4月 大浜礁縁部
 

大雨のあと、宮良川から流れ出す赤土等で赤く染まる大浜沖の海


○2008年

大型のカモメが見あたらない。カワウ・ユリカモメの数が少ない。

・12月初旬から黄砂飛来が少ない。
 (冬型の気圧配置になりにくく、この時期にしては比較的天候が良く気温も高め)

・1月、鳩間島南、石垣島石崎沖にオニヒトデが多く発生しているらしい。
 (オニヒトデは、サンゴのダメージ(白化、環境汚染)を察知し、動き出したようだ)
 (また、温暖化の影響で海面上昇が進行しつつあるとすれば、サンゴ礁に生息する生物は、本来のライフサイクルより
 そのサイクルを早めだしてくる頃)

・1-2月、連日曇り時々雨。太陽・月が全く見えない。

・例年の冬同様に連日、分厚い鉛色の雲が覆い、暗く雨がシトシトと降り続く。(1月、晴れた日は初旬の3日だけ)

・1月下旬、たった1日だけ雨の中ヤコウボクがいっせいに咲く。

2月に入り、早くもクロツラヘラサギ、ユリカモメ、カワウの一部しか見掛けない。

・アオサ、モズクの生育がかなり悪いらしい。(日照不足によるものだと推測されているが..)

・長引く日照不足や雨の影響でか、海水表面温度が例年より下がりはじめる。

・2月中旬、車が真っ黒に汚れてきた(アジア大陸からの煤煙の影響)。

・5月中旬、野ネズミ・ゴキブリ等の駆除のため、農薬・除草剤がまかれる。(一年以上にわたり何回もまかれた)

・5月17〜19日20:00前後に東シナ海側のサンゴ(ミドリイシ)の産卵、23日21:00太平洋側でサンゴの産卵
 .海水温26-26.5℃(近海台風通過により一時低下)

・5/22日沖縄地方観測史上もっとも遅い梅雨入りに。

・例年より鳥類、コウモリの個体数がかなり少ない(カラスをのぞく)。

・6/7日早朝、石垣島で集中豪雨。大量の土砂・赤土が流出。陸からの見た目では8日午後までには
 沖に流れたり堆積し、平常通りに戻る。

・6月末東シナ海側リーフ外縁部のトゲサンゴに、サンゴの白化前兆が見られる。(死滅し、黒紫のバクテリアに覆われる)
 7月初め太平洋側礁縁部でもポツリポツリとバクテリア増加の兆し。表層29.5℃
 石垣島大浜、10cm前後のオニヒトデが礁縁部で見掛けられるが、その周囲にはサンゴ食痕跡が見あたらない。
 オニヒトデが普段パイロットしかいない場所でも確実に増えてきているようだ。

・7月中旬、海水温上昇によりサンゴの大規模白化現象が目前だった八重山に17-18日台風7号接近。撹乱され海水温低下し、
 免れるが、海水温高めで9月末まで危険な状況。
・真栄里・大浜礁池部のサンゴが96%以上死滅。昨年の白化と大雨による影響と思われる
・7月始めから八重山近海で高海水温になっていたが、中旬・下旬に台風が接近。一時期的に海水温が低下し危機脱出。
 まだしばらくは危険な状態が続く。
・7/31日、台風8号が接近後で東シナ海沖側海水温28-29℃
 イワシ、イカ類は多いが、その他の魚が少ない。
 
2008年7月、大浜・真栄里礁池のサンゴ95%以上が死滅
'07年7月、石垣島周辺海域の潮が引いた時に干出するほどの浅い礁池・礁縁部のサンゴが白化し始め、8月にはその場所の
ほとんどのサンゴが白化現象を示した。(水深10m程までの一部サンゴも白化)
同時にオニヒトデが、生息しそうな場所において普段は1匹/100mX5mだったところに2〜3匹に増加。
(真栄里礁池、大浜礁池・礁縁部、白保礁池、米原礁池・礁縁部ともに)

サンゴの死滅原因は’07年の高海水温と大雨による陸からのインパクトによる病気と白化現象と考えられる。
サンゴ礁の成長過程で異常ではないと考えられるが、陸からのインパクト(有機物やサンゴの発生・成長を阻害する物質が流入し続けた場合、
伊原間・星野礁池部と同じようにサンゴが復活できない可能性も考えられる。
 

'06年11月の石垣島大浜礁池部

         '06年11月の石垣島大浜礁池部
'07年7月初旬までは種類も数も多く、スズメダイや様々な幼魚が見られ、健康で美しいサンゴが見られた。

'08年7月の石垣島大浜礁池部

        '08年7月の石垣島大浜礁池部
'08年7月久しぶりに泳いでみると見た目95%のサンゴが死滅。魚の数も少ない。一部のハマサンゴでさえ死滅しているのが見られた。
しかし、一部で環境悪化にも耐えうるサンゴたちが生き延び、また新しく着床して成長しようとしている。

8月11日 夕方、石垣島で雷雨と集中豪雨。一気に赤土等が海に流出。
  11日 水納島でイルカ約40頭が迷い込み。翌12日、浜で20頭が死亡。残りは不明。

8月中旬 石垣島米原礁外縁部-5m以深のサンゴが急激に生育状況が悪化。(海水温29.0-30℃)
      数カ所の観察ポイントで生きたサンゴは30-60%(平均50%)に減少。台風の接近がなければ
      かなり厳しい状況に。
      (他の場所と同じで、オニヒトデや白化の影響はない。水質悪化の影響の可能性が高い)
      礁池内でマンジュウヒトデの増加が気に掛かる。

増加が気に掛かるマンジュウヒトデ
(無秩序に海藻やサンゴを食い荒らすが
異常発生が見られることはない)

'07年の白化を乗り切り順調に生育するものと思われたが、
’08年8月危険な状況になった米原礁外縁部のサンゴ。
サンゴ自身の抵抗力の低下、台風が少ない、目に見えていない海洋汚染(農薬、多量の有機物)が影響していると思われる。
 
・8月下旬頃から海面潮位が高くなり始める。続けて海水温が高くなり始める(9月に入り30℃を越える)
・9月に入ってもハブクラゲが名蔵湾からフサキにかけて見掛けられる。

・9月上旬、満潮時、米原礁内外ともに緑色に濁り、サンゴの白化が起きる寸前の状況。
 ホワイトシンドロームおよびその後真っ黒になったサンゴが礁外縁部の浅深部で見掛けられる。
 魚介類、ナマコが少ないのが気に掛かる。
・9月12-14日台風13号接近。川平、与那国で過去最多24時間降水量。海水温28℃以下に下がるが、
 赤土などが大量に流出。
 続けて16日に石垣島に集中豪雨。

・10月上旬、石垣島米原、礁内外ともにサンゴは目立った白化が見られず、生育も良好に見える。
 しかし、河川から礁池に流れ出した砂の下からはヘドロ臭がし、近辺のサンゴは窒息しそうな状況。

 

ヘドロ臭のする場所近くで、粘膜で表面に着いた土や汚れを拭い取っているサンゴ。
・11月初旬、日中の最高気温が30℃以上の日が続く(表層海水温28℃,平年より2℃高い)。
・真栄里・大浜のほぼ全滅したサンゴ礁礁池部は海草がカバーし、回復前期に移行。

 真栄里、大浜、白保、米原のオニヒトデは100m間に1-2匹。食痕跡はミドリイシが極僅か。
・シカクナマコが白化したサンゴの表面の付着海草を食べているように見える。(写真右)
・初旬、米原でこの時期にしては珍しいカツオ、グルクマの群れ、ベラの産卵が見られる。

 
・11月〜12月、例年、秋浜近くに来ている、ナンヨウカイワリコバンアジの幼魚の数が年々減少している。
 米原礁縁部では多くのミドリイシが復活。礁外縁部は回復が遅れ気味。
・12月初旬になってもカツオノエボシが現れていない。(海水温・気温ともやや高めだが,例年並みの日も)



 ○2007年

○'07年白化現象が起き始めた石垣島米原周辺海域でのサンゴ景観

7月に台風2個が接近し、かろうじて白化を免れた('07.8)

礁外縁部水深5m程の健康なサンゴ('07.8)

礁外縁部でも一部が白化し始めている('07.8)

礁縁部の枝状サンゴのほぼすべてが白化('07.8)

リーフ外水深10m程のサンゴも白化

完全白化したミドリイシに病気も見られる('07.9))
・冬期、八重山に渡ってくる鵜、カモメ、ウミネコの数が少なく、日本が暖冬気味だった。
・初期、海水温低下の度合いが鈍く、夏期サンゴの白化が懸念されたが、春先の海水温上昇具合も鈍化。春期は例年よりやや低くなっている模様。
 '07年冬期は、海水温低下が鈍く、気温が激しく低下した日もなかったので、白化を起こしているサンゴが少ない。

・石垣j島中北部東シナ海側で5月5日、6日にサンゴが産卵開始。表層海水温24-25℃
 旧暦で20日近くになってからの産卵。前後に降雨あり。次の満月が6/1日ぐらいとなるので待てないサンゴが先に産卵した?模様。
 6日、午後9時から10時半にかけ、少なくとも2種のサンゴが放精放卵した。この時間から夜半過ぎまで生臭い匂いが強烈に感じられた(米原・冨野)
 太平洋側で5/8日21時30分、微かにサンゴ産卵時独特の匂いが漂う。(一部少数のサンゴが産卵したようだ)

・5月31日21時、6月1日21時半、6月15日21時半頃(すべて南または南東、南西の風)に石垣島大浜・真栄里周辺でサンゴの産卵時の臭いが立ちこめる。

・6月14日(大潮、14:00)、米原礁縁部表面海水温28.2℃

・この年は、あまりにもサンゴの産卵(放精放卵)活動が活発すぎる。いったいこの後何が起きるのか?!

・6月、真栄里・大浜では礁池内で例年よりオニヒトデ個体発見数がやや多い。サンゴ食痕跡は普段どおりで少ない。
 米原(東シナ海側)では礁縁部-5m以深部に食痕跡が例年より多く、個体は見えない。
・東シナ海側礁縁部にはオニヒトデの天敵となる生物がいるためか日中見掛けられない。
 太平洋側礁池内では天敵がいないためか、日中でも簡単に見つかる。(物で少し触れると岩陰に隠れる)
 毒を持つトゲで被われているということは、外敵や天敵となる者の種類か数が多かったはずなのだが。。

・7/1日(大潮、14:00)、米原礁外縁部水深3m
29.5℃
 前日サンゴの産卵があったようで、礁池から外洋に流れ出す海水のみ産卵臭。また、礁池内で泡(スリット)の確認
・米原Wリーフの干潮時干出部のサンゴのほとんどが白化状態。
表面海水温30℃オーバー
 東シナ海側、大潮干潮時に干出するサンゴの大部分が危険な状況になっている。
・7/12日台風4号接近。沖縄本島に多大な被害。
 台風通過後、周辺海域の海水温が2-3℃下がる。
・7/20日には平年海水温に戻り、22日には東シナ海側で礁外縁部で32℃(小潮満潮時)と急激な海水温上昇。
 米原礁原部および礁外縁、礁池のサンゴはなぜか例年より白化が少ない。(一部の若いミドリイシ類の白化が見られる)
 しかし、このままの気候が続くと、これから急激に大規模白化現象に進むと思われる。
・7/24日、いっきに米原礁原部および礁池内の潮通しのよい場所でも
20〜30%のサンゴが白化しはじめている。
 礁外縁部は、トゲサンゴの白化現象がはじまり、サンゴが全体的に白く感じる。
 すでに海水温は
31.5-32℃。浜際では33-34℃にまで達している。
・7月末、石垣島および八重山諸島近海の海水温が異常な上昇率。
 沖縄本島にとどまらず、本州近海まで一気に海水温の上昇。八重山近海だけでは済みそうもない状況。
 すでにサンゴや海藻が耐えれると思われる32℃を超そうとしている。’98年よりも
危機的な状況と言えるだろう。
・7/31日、米原礁池部のサンゴは場所により20〜100%のサンゴが白化。浜近辺のサンゴは100%白化している。
 礁縁部大潮干潮時干出するサンゴはほとんどが白化(例年起きるものとそれほど変わらない)
 礁外縁部のサンゴは、トゲサンゴが水深15m程までのすべてが白化。それ以外のサンゴも白化し始めている。
 また、'98年同様、海は緑色に濁り無気味な静けさ。魚や甲殻類などの行動も鈍っているようだ。
 (個人的な意見として、温暖化やそれに伴う海面上昇、環境の悪化に対応するためサンゴがライフサイクルを
  早めているとも読みとれる)
・8/2日 米原礁縁部海面水温31.5℃。礁斜面のサンゴの白化の進行は認められない。むしろ部分的には回復している。
 米原のウミガメのネストから第1弾の稚ガメが海へ。
・8/5日 名蔵湾、フサキ周辺でハブクラゲが大量に発生しているとの情報あり。
・8/6-9日まで、台風6号、7号連続接近し、一時的に海水温は2-4℃低下(予測)。
 さらに8/14日まで強風波浪、悪天候が続き、一気に気温、海水温が平年以下に下がった。海水温29.5℃(satellite)。
・8/15日、約10日ぶりに晴れ。大浜礁外縁海水温29.7℃(実測)。
 サンゴの白化が治まっているものと思っていたが、大浜の礁原部では、現状維持またはヒドくなっている。
・8/15日、20時過ぎに大浜でサンゴの産卵臭。



7月30日、石垣島大浜サンゴ礁礁縁部 
大潮、干潮時。干出・潮通しのよくない浅瀬のミドリイシ類は
ほとんど白化している。
臭い始めていることから、サンゴ虫が死滅し始めているものと
思われる。
東シナ海側では、さらに顕著に進行しているものと思われる。
8月15日、石垣島大浜のサンゴ礁礁縁部 29.7℃
上記と同場所だが、潮位が高いため同じ位置から撮れなかった。
サンゴの白化は維持状態で治まっていない。
8月19日、石垣島米原サンゴ礁礁縁部 28-29℃
台風8号通過後一時的に海水温が低下。
先月末頃から続く異常なまでの透明度悪化が気に掛かる。
画像クリックでムービー再生(WMV
size:440kB)
 
1998年の大規模(世界的)なサンゴ白化現象が起きた時、数人の島のオジイにこれまでのサンゴの白化について聞いてみた。
「こんなのは見たことがない」「かなり以前にも白くなったことがあったがこんなに酷くはなかった」という話しだった。
しかし、’98年以降ちょくちょく各地のサンゴ礁域で顕著なサンゴの白化現象が見られるようになっている。
果たして高海水温だけの影響なのだろうか?
近年、サンゴの病気についても徐々に分かりつつある。大昔から生きてきたサンゴにも人間と同じように免疫抵抗力を低下させる要因が増え、それらが影響しているのだろう。
 
・今年は春からやけにアサドスズメダイが多い。
・8/29日、東シナ海側米原、礁原部など過酷な環境で生息していたサンゴの多くはが死滅。
 このところの海水温低下(28-29℃)により、礁外縁部のサンゴは褐虫藻が戻りはじめている。
 しかし、また急激に海水温が上がろうとしているので、予断は許されない状況。
 サバ、サバヒ、カスミアジ、グルクンが見掛けられる。

・9月中旬、太平洋側大浜周辺海域では、-2m以深のサンゴダメージはかなり少ない。
 -2mより浅い海域のミドリイシ類等はほとんどが白化か、白化後死んでいる。
 透明度は普段と同じ(東シナ海側のように緑っぽく感じない)。海水温は29.5-28.5℃。
 様々なサンゴに、サンゴ1群体に白化などしていない正常な部分、白化した部分、白化後死んでいる部分が
 混存しているものが目につく。


・9月下旬、18日台風12号通過以前から、白化は徐々に収束状況に。
 7月白化が始まった頃予測していたものよりは、白化が進行・拡大せずに収束した。
 数度の台風と高海水温塊の移動により8月から海水温が低下。
 アオリイカが多く、オニヒトデは見掛けられない。

 ハマサンゴなどの塊状サンゴやアオサンゴなど白化しにくいと思われるサンゴが今年7-8月白化していた。
 陸では、大量の除草剤とともに、野ネズミが大量に発生したため島全体で一斉な駆除剤を使用した年でもある。
 
・10月下旬、サンゴ白化現象は収束に。石垣島近海多くの場所では、礁池部50-95%のサンゴが白化したあと死滅。
 礁縁部、礁斜面では10-50%が白化後死滅。
 ハマサンゴ等の塊状サンゴは、一部を除き白化から回復している。
 シャコ貝は回復しているが、イソギンチャクの多くが白化からの回復が遅れている。


○2006年

1月や2月でも珍しくカツオノエボシが出現している。
冬期、サンゴ(ミドリイシ)の干出した部分が白化減少を起こしているのが目立つ。
東シナ海側米原礁外縁部で珍しくオニヒトデの食痕跡が見られる。サンゴの生育限界になりつつあるのかも知れない。
4月 東シナ海側米原でグルクンの小さな群れ(50-100)が見掛けられるようになった。
5月10日夜、12日20:45に石垣島米原でサンゴの産卵確認。礁外縁部海水温26.3℃。
5月17日am4:00大浜でサンゴの卵の生臭い臭いが漂う。東シナ海側礁外縁部27.3℃(-20m)

○2005年

3月中旬 サンゴの生育がやはり良すぎる。この時期の昼間もポリプを出すエダミドリイシが見掛けられる。
      ただ単に海水温が高かったためという考え方、以降の高海水温にサンゴが備えたものという考え方もできる。
      
2月上旬 例年より海水温が高いもよう。
      礁内外ともに、例年の冬季よりもサンゴの生育がすこぶる良好。

      

○2004年

1月中旬 海水温は23〜22.5℃、例年より海水温の下がりぐあいが鈍かったためか、海草類の繁茂状況も幾分
       遅れがち。
       2003年は自然の移り変わりが例年より1ヶ月ほど早かったが、2004年は例年通り悪天候が続いてい
       るせいもあり、平年並みとなるだろう。
3月中旬 礁外縁海水温23.6〜23.9℃
4月中旬
 礁外縁海水温23.8〜24.5℃
5月初旬 東シナ海側礁外縁海水温24.9〜26.0℃、久しぶりにグルクンの小さな群れを見掛けた。
       
6日深夜、大浜でサンゴ産卵の独特の臭いがした。
       強い東風だったので宮良・白保方面でミドリイシ類の産卵があった様子。

5月中旬 東シナ海側礁外縁海水温26.5〜27.5℃
       東シナ海側に大量のサンゴ幼生(プラヌラ)が表層を漂う。
        少量の毒を持つようで、礁外縁部表層を泳いでいるとチクチクします。
       八重山周辺海域では6〜12日の夜間にサンゴの産卵があった模様。
       他のプランクトン・クラゲ類も来月辺りまで海表面を漂います。気を付けましょう。 
     

○2003年

10月30日 石垣島の東シナ海側においてカツオノエボシが漂流。
       毎年、この時期の北よりの風(ミーニシ)に乗って、東シナ海側海岸に流れ着くのが見掛けられる。
       また、八重山周辺海域では7月頃から一時期的に希に見掛けられることがある。

10月26日 白保、米原礁池部海水温26.5〜27℃
       この時期波打ち際に群がるコバンアジが少なく、カスミ・カイワリ類が多い。
       サンゴの白化状況は2〜3%にまで回復。
9月30日 米原礁池部海水温29℃(-2m)。
       白化現象によるダメージは少なく、この時点での白化はミドリイシ類10%未満。
9月16日 白保礁池部海水温31℃(-2m)。白保礁池では白化に耐性のあるサンゴが多いので、白化現象は目立
       たないだけなのだろうか。一部ミドリイシとイソギンチャク、アザミサンゴなどの白化現象が見られる。
9月13日 東シナ海側米原周辺海域でのサンゴ礁域では14号での物理的影響はほとんどなかった。礁池30.1℃
       海水温が平均1〜2℃下がりサンゴの白化現象がほぼ90%治まった。
9月11日 台風14号襲来八重山では強い西よりの風が吹き、大潮と重なった。
9月09日 天候と台風の影響で、海水温が若干下がり、サンゴの白化現象が回復傾向。out30.3℃
9月05日 太平洋側小潮満潮時、礁外縁部(out)サンゴ生息部における海水温31.5℃〜30.5℃
8月30日 台風13号石垣島の南海上380kmを通過。太平洋側が波8m以上の大時化。
8月09日 礁池部-2m海水温30.7℃〜31.8℃. 計測場所波打ち際で上げ潮時38℃以上の表面水温。
       (気温33℃) 海水面-0.5mでは35℃前後まで上昇。
       太平洋側、真栄里礁池で10日前まではそれ程目立っていなかった白化現象が一気に
       進んでいる。このまま海水温が上昇したままではかなり危険かも。

7月29日 周辺海域の海水温がかなり高い。礁縁部や礁池部でサンゴの白化現象が目立ち始めてきた。
      海のためにも台風が接近して欲しいものだ。
      (台風が接近し、海が荒れると海水が撹乱され、海底の冷たい海水が表層に上がってくる)
7月15日 代表が米原沖でカツオノエボシの群れを確認し、足を刺される。
      膝下を1周巻かれた。刺された時はチクチクという程度で痛みはそれ程なかったが、数時間後に
      痛みとかゆみに襲われた。刺された時の痛みはハブクラゲの方が数倍痛かった。
6月15日 最近までの海水温の上昇は鈍いが、礁原部のサンゴはかなり白化現象を起こしている。
5月12日 石西礁湖でサンゴの放性放卵(産卵)が確認される。
4月29日 春の海浜清掃(八島町東)&集会
4月 1日 礁池海水温26.2℃。曇り一時晴れ、気温26℃、大潮干潮時
      海水温が例年より高く、海草類の生育に異常(生命サイクルが早い)が感じられる。
      サンゴの大量白化現象が今年も起きるかも。

3月16日 礁池海水温24.6℃。晴れ時々曇り、気温23℃、大潮干潮時
2月28日 カヤマ島沖でザトウクジラ目撃情報(八重山観光フェリーほか)

 

2003年8月21日13:15大潮干潮時に撮影
 
礁縁部の長時間潮だまり状態になっている場所で、マイクロアトール(約1m)を形成する生きているハマサンゴ
その同位置で海水温を測定。
写真左側、茶色の正常なハマサンゴの位置での海水温は38.2℃
写真右側、白化をおこし始めているハマサンゴの位置での海水温は38.5℃
 (これ以外で40℃を越す海水温になっている場所においても、ハマサンゴは白化または白化をおこすことなく
 生存するのを確認)
枝や薄板状のサンゴはこの時点(観測時)で、31.5℃以上になる海水温の場所でほとんどが白化していた。
非造礁性サンゴ=生育の早いサンゴ=オニヒトデが好むサンゴ)は、環境の変化に影響を受けやすいようだ。


○2002年

12月31日 海水温が急激に低下傾向に。
11月21日 石垣離島桟橋に係留してある海上保安庁の船の下にツバメウオの幼魚が2匹きています。
11月17日 今シーズンも慶良間諸島周辺にザトウクジラが繁殖と子育てに来ているようです。
       おまけに!マッコウクジラまでが初めてやってきたとのこと(現在3〜4頭)。

11月13日 ここのところ米原の波打ち際にオニカマス(約35cm)が数匹見掛けられます。
       まだ若い個体で、周囲の環境変化により擬態(体色の変化)するのが見られます。
       毎年10〜11月は波打ち際に数種のアジ類の若魚も多く見掛けられます。
       近年のサンゴの白化やサンゴの減少の影響でか、昨年と今年はアオリイカの群が極端に少なくなっているようです。

      近年、見掛けられるハタやブダイ類の種類がかなり減ってきている。他の種についても同じ事がおきているようす。
11月 3日 台風後、東シナ海側の礁池の多くに波の影響が大きく、かなり変わっているようです。
       それまで礁池内の環境の悪化(泥や赤土の堆積、さんごの白化や藻類の繁茂)が見掛けられていたので
       浄化されたことにもなります。今も健康な海ならば、また来春から活発なサンゴの生育が期待出来ることでしょう。

10月中旬、礁外縁部-17m海水温27.3℃。
10月初旬、礁池部海水温29.3℃。

9月 20日、新たに起こっていた礁外縁部のみに見られた白化現象の終焉。
   白化部に藻類が付着し、新たな白化現象は確認されず、褐虫藻が戻ってきている。
9月 中旬、礁外縁部のみサンゴの約20-30%に新たな白化現象が見掛けられる。礁外縁29.0℃
9月 10日、台風16号の通過で東シナ海側(西に面す海域)礁嶺部のエダミドリイシがまるでバリカンで
   刈ったように折れている。透明度がなかなか回復しない。礁池部の塊状サンゴ等が転がされている。
   礁池内は、昨年11月(台風21号)時より更に激しく撹乱され、無影響の場所がかなり少ない。
   台風通過後、今回も礁外縁部海水温が0.9℃低下。
   礁湖部は波浪でかなり撹乱されほとんどのサンゴにダメージあり。コモンシコロサンゴが更なる生育拡大。
8月 東シナ海側のミドリイシなど成長の早いサンゴの急速な生育が見られる。
7月
 東シナ海側礁池内部において海水温の上昇と汚濁沈殿によると思われる塊状サンゴ等に白化現象
   が見掛けられるようになっていたが、台風6号の通過で回復に向かって行くものと思われる。

6月 石垣島米原礁池部及び礁外縁部において、凄まじい勢いで主にミドリイシ類のサンゴが成長、回復
   が見られる。
(海水温は平年値からやや高めに)
5月 サンゴの回復状況は芳しくないが、アオリイカの産卵状況、グルクンの生息状況、多種の魚類等から
   考察すると、これから次第に回復して来るものと考えられる。
  サンゴは例年通りに産卵しているようだが、一斉産卵ではないとのこと。
4月 旧暦の3月3日(サニツ)頃は天気が良く、気温がグングン上昇。’98年の大規模白化現象時に似て
   いるが、海水温の上昇はそれほどでもない。
3月17日 石垣島で海開きが行われた朝、名蔵湾の沖でミナミバンドウイルカ他の群れが見掛けられました。
1月 6日、米原礁池内実測海水温21.5℃。八重山周辺海域は例年より海水温が下がっている模様。
  2001年末より急激に海水温が低下し、魚の活性、干出するサンゴの一部に白化が認められる。
   3月頃までは海水温が低下し続けるので、このままでは20℃を下回りそうな勢い。


  ※場所を記入していないものは、石垣島米原(中部東シナ海側)


○2001年
(2001年も沖縄でサンゴに白化現象が起きていました)
2001年 4月 海草・海藻類の繁茂状況、気温・海水温等により今年度も白化が起きることを予測。
2001年 7月 奄美周辺でオニヒトデの大量発生。7月末にサンゴの白化が認められる(沖縄本島も)
2001年 7月 徐々に石垣島周辺においてもサンゴの白化現象が確認され始める。
2001年 8月 '98年までは進行していないが、白化が顕著になる。
2001年 9月 台風の影響で数回の集中豪雨。その度に大量の赤土流出。
         台風16号の影響で海が荒れ、海水の攪乱が起き、18日夕方、礁池内の海水温が30.5℃。
2001年10月 10/7米原沖で白化現象の終息へ向かっていることを確認
         (礁池部満潮時海水温28.5℃前後に低下)
         10/21米原沖礁池部においてサンゴの白化現象99.9%が終焉
         (ほとんどが回復、海水温27.2℃)
         台風21号により礁池内が数年ぶりに大きく撹乱された。
         一見、ダメージのように見えるが,サンゴは,台風の強い波をも利用し,大きく成長し,生息環境を
         広げていく。

2001年11月の現状

2001年10月に襲来した台風21号のあと (11/3撮影)
○写真上左:ひっくり返った大きさ約1.2mのハマサンゴ。
 ここからまた成長を始める。
○写真上右:5m以上あったと思われるハマサンゴのマイ
クロアトールがパカッと2つに割れていた。
波による影響が強かった場所ではかなりのダメージ。
(環境汚染などの悪化とは違い、自然更新であり,サンゴは
生き残り再生する(新しくサンゴの生育できる場所ができ
上がる)。
また、その周囲も海底がバラスに覆われ強い波
による撹乱のあとが伺われる。
○写真下左:30m程離れた場所では影響をほとんど受け
ず、健全なサンゴ礁景観が見られる。

     11月 米原礁池11/2海水温26.5℃、11/4海水温27.4℃。
         10月末、エダミドリイシの先端部約5mmのサンゴ虫が死亡していた生後2〜3年のサンゴ
         個体が5日後、その個体のすべてのサンゴ虫が死亡していた。

9月頃からは白化現象を起こしたサンゴの褐虫藻が少しずつ戻ってきている。
'今年の白化現象の特徴は、白化した大部分ののサンゴがその後死亡し藻類が付着した’98年度と違い、白化現象後ほとんどのサンゴが
今のところ回復傾向または回復している。
白化進行、回復状況の観察結果、サンゴの裏側や北に面した側、エダサンゴは垂直になる枝の回復が早い(褐虫藻が戻る)、または白化
しにくいようだった。
そのことから、褐虫藻がサンゴから逃げ出すのは、海水温の影響よりも主に太陽光(紫外線)による影響の方が強いのではないかと推測
される。本年は’98年同様紫外線量が例年より多く降り注いでいたものと予測される。
従って、海水温の計測同様に、紫外線量の計測、予測も必要であろう。
また、白化現象進行時の観察結果、’98年以降に生まれ、生育したと思われる個体群が顕著に、または、先行して白化が進んでいることが
認められた。

2001年 沖縄 石垣島の海水温変動 (1月〜7月)

月日 時間 場 所 礁池部水深 海水温 礁外縁水深 海水温 平年水温 天 候 気温 最高平均
      月別℃     気温℃
01/02 14:00 米原 1.0 24.0       小潮.満潮 晴れ時々曇 23.0  
01/20 15:10 米原 1.5 24.0     23.3 中潮.満ち 快晴 25.0  
03/03 15:00 米原 1.3 24.3     23.0 小潮.引き 晴れ 23.0  
03/10 15:30 米原 0.3 24.7       大潮.満ち 晴れ後曇り 23.0  
03/20 15:00 米原 1.0 25.2     23.8 中潮.満潮 曇り 25.0  
03/22 16:30 米原 1.0 25.0     23.9 中潮.満潮 晴れ時々曇り 24.0  
05/03 15:00 米原 0.5 25.5 3.0 25.3 26.0 中潮.満ち 曇り 28.0  
05/06 11:00 米原W     10.0 25.5   大潮 曇時々晴れ 29.0  
05/10 16:00 米原 0.5 25.6     26.2 大潮.干潮 曇り一時雨 27.0  
05/24 15:30 米原 0.5 30.5 7.0 27.5   大潮.干潮 晴れ 29.0  
06/03 16:00 米原 1.0 30.1       小潮.満潮 曇り時々晴れ 29.0  
06/09 15:00 米原 0.3 31.0 3.0 28.0   中潮.引き 晴れ時々曇り 31.0  
06/21 15:30 米原 0.2 32.9 5.0 29.3 26.3 大潮.満ち 晴れ時々曇り 32.0  
06/28 15:00 米原 1.0 31.7       小潮.満潮 晴れ 32.0  
07/27 14:00 米原 0.5 31.4     29.1 小潮.満潮 晴れ時々曇り 32.0  


2000年  石垣島周辺海況   デ ー タ
年月日 時間 場 所 礁池部水深 海水温 礁外縁水深 海水温 平年水温 天 候 気温
      月別 ℃    
00/01/06 14:00 黒島南     10.0 24.8   大潮.干潮 曇り時々晴れ 22.0
00/01/22 02:00 大浜 0.1 23.0     23.3 大潮.干潮 晴れ 19.0
00/02/14 12:00 米原     5.0 23.3 22.8      
00/03/03 13:30 米原 0.3 24.5   23.5   中潮.干潮 晴れ時々曇り 23.0
00/03/25 16:00 米原 0.3 23.5 20.0 22.7 23.9 中潮.干潮 曇り時々晴れ 22.0
00/04/20 15:00 米原 0.3 27.5 4.0 24.0 24.7 大潮.干潮 晴れ時々曇り 26.5
00/05/01 16:45 米原 0.5 25.6       中潮.満潮 曇り時々晴れ 25.0
00/05/04 17:00 米原 0.3 28.7     26.1 大潮.満ち 晴れ 27.0
00/05/28 17:00 米原 0.3 29.1 7.0 27.5   小潮.満潮 曇り一時雨 29.0
00/06/03 14:00 米原 0.3 31.4 20.0 28.7   大潮.最干 晴れ時々曇り 31.0
00/06/07 11:00 米原 0.3 31.2 8.7 28.8   中潮.満潮 晴れ時々曇り 32.0
00/06/08 16:00 米原 0.3 30.2 6.0 28.8   小潮.干潮 曇り時々晴れ 31.0
00/06/18 14:00 米原 0.3 30.2 7.0 27.6 26.3 大潮.干潮 曇り時々晴れ 30.0
00/06/20 14:30 伊野田 0.3 30.0       中潮.干潮 曇時々晴れ 29.5
00/06/27 15:00 米原     7.0 29.5   中潮.満ち 晴れ時々曇 31.5
00/07/10 15:00 米原 0.3 31.0 6.0 28.8   小潮. 曇時々晴れ 32.0
00/07/15 16:30 米原 0.3 31.0 23.0 29.3 28.6 中潮.満ち 曇時々晴れ 31.0
00/07/22 17:00 星砂(西表)     7.0 29.8   中潮.干潮 晴れ時々曇 32.0
00/07/23 10:45 仲の神島 10.0 29.6 28.2 29.1   小潮.満潮 晴れ時々曇 31.0
00/08/18 11:00 竹富南     7.0 28.8 29.5 中潮.引き 晴れ 30.0
00/08/20 14:00 石崎     10.2 28.6   中潮.引き 晴れ時々曇 32.0
00/09/16 17:00 宮古.砂山 2.0       28.0     30.0
00/09/21 14:00 米原 1.0 27.7       小潮.満潮 雷雨 30.0
00/09/24 16:00 米原 1.0 30.3       中潮.満潮 晴れ 29.0
00/09/29 16:40 米原 1.1 28.0            
00/10/04 12:00 米原 1.5 28.0       小潮.満潮 29.0
00/10/05 11:30 竹富南     10.0 27.5   小潮.満ち 晴れ 29.0
00/10/08 15:30 米原     21.8 27.8   中潮.満ち 曇時々晴れ 30.0
00/10/19 16:00 米原 1.0 27.7     26.8 中潮.引き 晴れ時々曇 29.8
00/11/19 15:00 米原 1.0 25.2     24.8 小潮.満潮 27.0
00/11/25 15:30 米原     19.3 24.5   大潮.満ち 晴れ時々曇 26.0
                     
00/05/04 伊野田キャンプ場で昼過ぎにシワハイルカが発見され、夕方漁港から解放。      
00/05/16 八重山でサンゴの産卵確認。  

○礁池(リーフ内)での海水温は、天候、潮の干満、気温等により、変動します。
○海水温はその場所での平均、または特異ではないと思われる場所での測定。
○気温は測定日の最高気温。



1998年8月 潮の干満と昼夜による海水温の変動 (8/22〜23日)
          (各計測時、約5カ所からの平均海水温 水深:0.5m 
               天候:晴れ、大潮、気温28〜32℃ 単位:℃)

8月 時刻 礁池内海水温 礁外縁海水温 海水温差 干満の状態
22日 15:00 34.5 31.5 2.5 最干潮
22日 19:00 34.5 32.5 1.5 満潮
23日 09:00 30.5 31.0 -0.5 満潮
23日 13:00 35.0 31.5 3.5 最干潮


サンゴ礁地域では礁外縁部が隆起し、その場所から浜までの礁池部が干潮時には外海と隔てられた状態となる。その為、水深が浅い礁池部は気温や
日射の影響を受け、一時的に35℃を越えることとなる部分がある。(表層水温)
通常、その状態においても一部の耐性があるサンゴは白化現象を見せることなく生育し続けている。
また、気温の下がる夜間の特に干潮時は礁外縁部よりも礁池部分のほうが海水温の下がることも確認。

そういったサンゴは、近年の赤土流出で礁池部の海底にシルトが溜まっていても、体の周りに粘膜を張り、波や潮の流れでそれを剥がすという防御手段
などでポリプの目詰まりを防いで生育し続けている姿が見かけられます。しかし、それが長期間続いたり、海水の透明度が悪くなると体の中に共生している
褐虫藻が光合成をおこすことができなくなり、白化現象を起こすこととなることも。

サンゴの大規模白化現象が確認された1998年における
石垣市米原礁外縁部の海水温実測値


この年、近年では沖縄のみならず世界的規模でサンゴ白化現象が見られた。
(エルニーニョによる影響で世界のサンゴ礁地域が海水温高温化、サンゴ虫内の褐虫藻が逃げ出し(追い出し)たのが原因と考えられている)
しかし、この年以降、毎年のようにサンゴ礁地域では異常なほどのサンゴ白化現象が起きることとなった。


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