イルカ&クジラ救援プロジェクト


イルカ&クジラ救援プロジェクト

○救援、救助手順 (小型鯨類)

@ 救援を要する鯨類が発見された場合、出来るだけ多くのメンバーや救援者を集める。
礁池や港に入り込んでいる場合のほとんどは、外敵等から逃げてきたり、傷などを癒す為に来ている場合が多いため、すぐにそこから出そうとするのは危険。しばらく様子を見ること。
(本来、浜などに来ることは考えられない。そこに来た理由を考えることが必要)
A 代表(メンバー)へ連絡をとる。
(基本的には代表からすべてのメンバーにメールで連絡します)
B 救援に必要なものを持参し現場に各自が集合。
(必要なものは出来れば車等に常時搭載しておいて下さい)
C 最初に現地に到着したメンバーは、発見者及び鯨類の状態を確認する。
死亡していて漂流が考えられる場合は固定する。
周囲に別の個体がいないか確認する。(多くの場合、近辺に別の個体や群れがいる)

彼らは、基本的な条件さえ満たせれば、水から出ていても2〜3日は生きていられます。
しかし、陸に上がっている状態では重力と、かなりのストレスが伴うので、冷静に状況を見つめ、なおかつ迅速な対応が必要といえます。
打ち上げられた鯨類の状態確認は、眼の状態(動きや乾燥状態)、呼吸器からの呼吸の有無(呼吸の間隔はかなり長いので注意して見る)、動きや外傷、口や呼吸器からの出血や異物などがないかを確認する。

直接素手では触らないようにすること。
触れる必要がある場合は、軍手やゴム手袋等をつけ、水で濡らしてから
(素手では彼らの皮膚が火傷様の症状になったり、傷などがある場合、相互に菌やウィルス類が侵入する可能性もある)
直接、呼気にもかからないようにする。(風上側に人を誘導)
D 場合によっては専門家の援助(指示)を得る。
E 基本的に、メンバーの行動は代表またはその場の責任者の指示に従うこと。
(鯨類がパニック状態になっていることや感染症を持つ場合もあります。危険な行動はとらないこと)
F すでに死亡している場合は埋葬(焼却)する場所を探す。
県・市水産課に連絡する。(処理は基本的に市町村の水産課が行う)
G 必要な場合はロープ等を張り、他の人が近づかないようにする。
H 生きている場合は、その場での最良の方法でまず最初に、落ち着かせ回復を試みる。
(周りで慌ただしく動いたり、バシャバシャと海に入らない。また、後ろから近づかない)
早急に体を濡らして乾燥を防ぐ・冷やす。
特に、弱っている場合は、鼻腔(呼吸孔)にかからないように手などでカバーしながら、体全体に海水や水をかける。
海水は出来るだけ海水温の低い所からくむようにし、尾ビレと尾ビレの付けねを重点的に冷やすのが効果的。
I 体が海水から半分以上出ている場合、その場を移動できる場合はほぼ全身が海水に浸かる場所に移動する。
潮の干満に注意。
体が横倒しになってる場合は、腹側が下になるように向きを変える。
胸ビレに気を付けて時々向きを変えるのが望ましい。
座礁の場合の多くは横倒しになる。体の構造上、腹を下側にする方がストレスが軽い。できれば胸ビレや体の下の土を掘り海水を溜める。
J 空気中に体が露出し直射日光が当たっている場合や風があたる時は、シーツなどの布で鼻腔を塞がないように体を覆う。または、日陰をつくる。
K 体中に海水または水をかけ続ける。 (干潮時、あまり高い水温の所からはくまないこと)
L できるだけその場所でしばらく回復を待ち、適時沖に連れていき、リーフ外や水深が深くなる場所で解放する。
浅瀬では弱っているように見える場合でも、沖(外洋)に連れて行くと泳ぎだすことが多い。
群れで行動している種がほとんどなので、できれば群れが近くにいる間に連れだすのが望ましい。
移動させたり、触ったりする場合は、敵ではないということが鯨類に分かり、感覚的に信頼が築けてから行うこと。

(長時間の救助で点滴・授乳が必要と思われる場合は、獣医師・水族館に連絡してみる)
体は引きずらないこと。(必要がある場合は、丈夫な布やシートなどを下に敷く) 
メンバーに連絡し、担架を持ってきてもらうか持参・作製する。
陸上での移動は、彼らにとって肉体的にも精神的にもかなりのストレスになることに注意する。
M 可能な場合は、直腸深部の体温を適切な器具を使用して経験者が測り、42度以上の場合は安楽死も考える。
(病気やケガ、重度の健康障害時も同様)
 
(今のところ、私たちは考えていない)

胸ビレの間(やや左側)を触れば心拍がわかるので、時々触診する。
N その場所から移動させる必要がある場合は、常時海水を体にかけ続けながら移動する。
海に帰す時は、できれば2人が支えることが可能な状態でサポートするのが望ましい。
弱っている場合は海中に投げ込まないこと。
尾ビレを引っ張らないこと。口の前に手を出さないこと。
暴れ出したらすぐに解放できるようにしておくこと。
O 複数頭がストライディングしている場合は、1頭ずつ海に帰すのではなく、リーダーと思われる個体を主体にし、できるだけ多くの頭数を同時に帰すことが望ましい。
まず、海に近い個体、健康状態のよさそうな個体を優先させる。

かえした後もしばらく様子を観察する。
しばらくしてまた座礁する場合もある。(周囲の場所を含め翌日まで見回る必要がある)
 

主に、イギリス王室 鯨類救助手順を参考にしています。

 
 
D&W救援プロジェクトの
座礁報告書 (コピー可)
 



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 ※種や場所、状態等により方法や手順はまちまちのこととなるでしょう。
  まず彼らのことを良く知り、その上で彼らの立場に立ってどうするべきか考えることが必要です。
  大型鯨類の場合は、早急に市町村・海上保安庁に状況の連絡して下さい。


○「命を無駄にしないためにも食用にできないのか?」とよく聞かれますが、海洋で食物連鎖の頂点に立つクジラ類は海洋汚染物質もかなり体内に蓄積していますので危険なことでしょう。
 また、何が原因で死亡したのかわかりません。何らかの病気や感染症の可能性も考えられます。接触は避けた方が無難です。

○現在、主な鯨類の捕獲にあったっては、農林水産大臣の許可が必要となっています。
○水産庁通達(2-1039,3-1022)で、クジラやイルカの座礁や混獲した場合、“生きているものは生かしたまま逃がすよう”指導されています。
○捕獲または座礁・漂流しているものを発見しても、その個体(派生物を含む)の所持、及び譲渡等は禁止されています。
○八重山でも打ち上げられたイルカを食べて食中毒が起きたという報告がありました。


【関連報告先】

石垣市農林水産部水産課

 〒907-8501 石垣市美崎町14番地 TEL0980-82-9911
沖縄県農林水産部
 〒900 那覇市泉崎1−2−2 TEL.098-866-2300
水産庁振興部沿岸課
水産庁海洋漁業部遠洋課捕鯨班
 〒100 東京都千代田区霞ケ関1−2−1,TEL.03-3502-8111(代)


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