○ユメゴンドウのストランディング経緯
○ユメゴンドウの死亡個体漂流経緯報告
  
 2002年5月19日〜20日ユメゴンドウのストランディングと救援の経緯
 種類 ユメゴンドウ
 性別 ♀(?)
 体長 2.38m、尾部ビレ幅 66cm
 個体の特徴 背ビレ後端部中央付近に15mm大の三日月穴状の古傷
       座礁時に負ったと思われる左眼球部の傷(水晶体白濁)
       座礁時に負った体中(側面,腹部)の擦り傷。特に各ヒレ周囲先端
           眼球色はライトブラウン
           歯の本数は確認不能。
 
6/16 追記(原因の考察)
5/19日1頭目が発見された場所は下水道が海洋に排出される場所。この周辺には常に数多くのボラが棲息。下水から排出されたゴミや有機質により周辺は肥沃になり、ボラの餌となる甲殻類や水棲昆虫等も多く棲んでいるが、排出される下水からの有害となる物質の高濃度体内蓄積が考えられる。(死亡漂流で発見された個体も同地域で発見されている)
それを知る私たちは当然この周辺で釣れたり獲れたりしたボラを食べることはないが、高濃度汚染されたその地域に棲むボラ等をユメゴンドウが食べていたとすると、これらの原因と考えることもできる。
また、後日の死亡漂流個体の捜索時に同地域で数匹のカスミアジ、海鳥が死亡し漂流しているのが見掛けられた。

発見
 5/19 PM3:20頃 石垣市八島小学校南側護岸に釣りに来た小学生数人が、1頭のユメゴンドウが傷だらけでテトラポットにのり上げているのを発見。
数人でテトラポットから押し出すが、その場で動かない状態。
 
救助活動内容
PM4:05 テトラ隣接の護岸(下水排出口前)に動かないでいる状態のユメゴンドウの呼吸、浮力確保、傷防止措置。(人間の接近、接触に対しては無反応)
PM4:50、海上保安庁のご協力で潮上の浅場へ約100m移動。ショック状態のユメゴンドウに対し、同場所で浮力確保と呼吸確保をPM6:30頃まで続行。
テトラへの座礁と思われる傷以外の外傷は、腹部にダルマザメによる傷跡1箇所のみ。
海面静止不能(すぐに横倒しになる)状態のため保護続行。
外傷部にゲンタシン軟膏の塗布。
日没前に登野城漁港内に海上保安庁のご協力で移動。




心拍数は80〜90回/分。呼吸数は4〜5回/分。呼吸停止中、呼吸孔から微量の呼気漏れあり。
放置すると横転し呼吸が出来ない状態になる為、体の安定措置、海面から露出した部分の乾燥防止措置をとる。
八重山ダイビング協会の方々と、救援Pr,のメンバーが翌朝6:00まで浮力と呼吸の確保を登野城漁港内スロープ(水深50cm、胸ビレの先が軽く海底に付く水深)において続行。
(移動後、まったく拘束せずにできるだけ静かに呼吸確保だけの援護措置)
途中、約2時間おきに水深1〜1.5m水深部に放置し、回復状況の確認。
心拍数は約90回/分。心臓は1回目計測よりややよわい鼓動に感じる。呼吸数は4〜5回/分。呼吸孔から微量の呼気漏れあり。
翌5/20、朝06:00の時点でゆっくりした自力での遊泳が可能となる。
呼吸が深くなってきている。
登野城漁港内(水深約2.5〜3.5m)において遊泳状況の確認。
回復傾向、もう少しの援護が必要と判断。
AM8:00〜場所を八重山ダイビング協会と救援Pr,が登野城漁港南側埋め立て地防波堤脇にユメゴンドウを移動。
(2名がユメゴンドウの両胸ビレを抱え、船から延ばしたロープを掴み、引っぱられた状態で移動するが、潮の流れでかなり困難。約150mの移動に1時間以上の時間を費やす)
AM09:30〜13:00まで、水深1.0〜2.0mの場所に於いて、ほぼ放置状態で様子を伺いながら回復を待つ。(サポートの為、交代で1人ずつが付きそう)
横倒しになることはなくなる。
13:30〜外洋への移動、解放措置の決行。
潮流、海流、干満から桜口沖に放流を海上保安庁警備救難課が判断。海上保安庁、八重山ダイビング協会のご協力の上、海上保安庁のゴムボート側面にユメゴンドウをのせた担架を縛り、2人が支え、様子を見ながら礁縁部へ運ぶ。
潮上に向かっていた為、自作担架では胸ビレに負担、体の締め付けが気に掛かる。かなりの低速で走行し、呼吸のタイミングに合わせ呼吸孔に海水が掛からないよう配慮する。                                   .
PM3:00石垣港桜口沖(水深約15m)において担架を外し解放し、海中で観察。海上保安庁警備救難課、フジマリンサービスの船がサポート。
風波がやや高いにも関わらず、すぐに安定した状態での呼吸と浮力が保てる状態。
1〜2分すると、ゆっくり自力遊泳を始める。
約5分後、次第に敏捷性を取り戻す。
約20分追尾し、かなり回復(機敏さ)が認められた為、PM03:30、以降の観察は不要と判断し引き返す。
礁縁部に沿い北東方面に遊泳していくのが見られた。
船が桜口に入る頃には確認不能。









 
 
 
○2002年5月21日 ユメゴンドウの死体発見経緯

天候・海況・現場の状況
曇り時々雨、南よりの風(風速10〜16m)、太平洋側の波は約3〜3.5m
旧暦04月10日(小潮) 満潮03:13 137cm、干潮09:05 89cm、満潮14:41 138cm
発見場所(石垣港内)での潮流
干潮時:西→東、満潮時:東→西(共に流速はかなり早く、潮止まりは数分のみ)

AM8:03
海上保安庁経由
「登野城漁港所属の漁船が石垣港桜口港道内に於いてクジラが浮いている」との情報。
AM8:20〜9:00
周辺の防波堤から目視と双眼鏡で捜索するが発見できず。
途中、八重山漁協登野城出張所に立ち寄り報告内容の確認をとる。
漁師からの通報内容では「生死の判断はできない」とのこと。
AM10:00〜10:30
八島漁港東端から目視・双眼鏡で捜索するが発見できず。
AM10:00
Y氏から「AM9:00頃、知人の漁師から桜口沖合でクジラの死体が浮いているとの報告を受けた」との連絡。(上記とは別の発見者)
AM12:00〜PM 1:00
八島漁港からターダ浜まで海浜捜索するが発見できず。
PM 1:00
海保から「サザンゲートブリッジ付近でクジラの死体が浮いているとの通報があった」と電話連絡。
PM1:27〜PM2:15
K氏から数回、現在死体位置確認の電話連絡。
PM14:00〜
石垣港(サザンゲートブリッジ〜離島桟橋)周辺捜索するが見つからず。
PM14:15
K氏から、かなり西方に流されているとの電話連絡。
西方にくまなく捜索するが発見できず。
PM14:30
海保から、石垣港バース西方にて、現在死亡個体発見し引き揚げ中との連絡。
PM14:50
石垣市水産課により死体の引き揚げ。

(発見個体の詳細)
@ユメゴンドウ  ♀(?)
全長228cm、頭〜背ビレ前部100cm、胸ビレ長40cm、背ビレ幅40cm、背ビレ高19cm、尾幅57cm、口先〜眼26cm、胴周82cm。
目立つ(死因に繋がるような)外傷無い。
両眼は正常。眼球部(水晶体)に白濁は認められない。
死後の体内ガス膨満状態の発生はほとんど見られない。
歯の本数は下顎部約22本。
身体的特徴から昨日の個体ではないことを確認。 写真を表示
PM15:10
石垣市水産課により、港内埋立地に埋設。
PM15:30〜
救援Pr,メンバーが引き続き捜索。
PM16:10
海保から、登野城漁港内(西端)に、さらに1頭の死体発見の連絡。
(発見個体の詳細) 
Aユメゴンドウ  ♀(?)
全長228cm、頭〜背ビレ前部100cm、胸ビレ長40cm、背ビレ幅40cm、背ビレ高19cm、尾幅57cm、口先〜眼26cm、胴周82cm。
身体的特徴から昨日の個体ではないことを確認。
両眼は正常。眼球部(水晶体)に死後白濁が認められる。
死後の体内ガス膨満状態がやや見られる。            写真を表示
石垣市水産課が、先に発見の死亡個体と同場所に埋設。

  
5月23日 AM10:00〜15頃
八重山観光フェリー定期船と地元漁師のYさんが竹富南5.6番ポール附近を体長約2m、鯨類の死体が浮遊しているとの報告。
竹富島北部以外の海浜捜索を竹富町役場の方とD&W救援プロジェクト代表が捜索するが何も発見できず。
当時の風、海流の影響から東方向に漂流したものと考えられる。

また、10:30頃、竹富島−黒島間に生存する5〜6頭の同種と思われる鯨類を目撃。(八重山観光フェリー定期船)


このサイト内の内容(文章・写真)等を無断で転載、使用、加工を禁止します。

All rights reserved. Reproduction in whole or in part without expressed written permission is prohibited.


トップメニューに戻る