'05.2.7 北海道羅臼でのシャチの集団漂着



2005年2月7日、こちらの石垣島とは正反対の日本の北の端、北海道の羅臼で、
シャチのポッド(集団)が漂着。
2月9日には9頭の死亡が確認され、1頭は生存していて、自力で沖に帰ったとのこと。
ほかに見掛けられた2頭は不明となったとのこと。
                       写真提供 海の哺乳類情報センター 撮影 荻野友希

 私には、情報をTVやネット、新聞などから情報が入ってきていましたが、
そのほかにもう一つ。
 長年、オルカを研究調査されていて、実際に羅臼に出かけ、地元の方たちから情報収集を
された「海の哺乳類情報センター」の荻野みちるさんからもご連絡をいただきました。

報告によると、、

 「生き物を助けるために努力するということは命がけのこととなりますが、やはり命のある
ものは生かしてやりたいと思うのが人間です」
 「現場の漁師さんたちは、シャチと共存してきたので、助けてやりたいと漁協や役場にかけ
あわれたのですが、まだ生きている間に、すでに役場と某所が経済的な解決方法を決めて
いて、彼らは現場に近寄ることさえ許されなかった」とのこと。

 「救助の内容は、新聞記事の内容は本当のことではなく、何もしないで見殺しにしました
というのが、正しいかもしれません」
 「現場に続く道路は封鎖され、関係者以外は何人も触れないように、また報道規制も引かれ
ていました」
 「漁師さんは、流氷ウオッチングもやっていて、流氷のことは知っていたし、すでに湾内閉じこ
められようとしていたシャチを誘導することもできた」 「また機材で吊り上げることもできたと
言って悔しがっておられ、私にも抗議をされていました」
 「私が現場に着いた時は、すでに9頭が死んでいましたが、研究目的で見殺しにすることなく、
早急に手を打つことができれば、多くの命を救うことができたことでしょう」

 「また報道は事実と違っている部分が多く、子供の下あごの腫瘍というのは外傷。ポッドのすべて
であろう10頭ものシャチが漂着するのは、流氷に閉じこめられるという事故ではない何かが関与
しているものと思われます」
 「地元の漁師さんはこのインタービューの主はうそつきだと怒って抗議しておられました」
 「自分たちも、見殺しにしたことを悔しがっておられました」
 「また地元では、鷲が鉛中毒で死ぬなど、いろいろ環境では深刻な問題が起きています」

 「漂着クジラを売買するのもどうかと、、、また骨を商売にするのも違いますよね。シャチは死んでも
高価なので、本当に死んでまで...かわいそうなことになってしまいました」

また最後に、感想として、、
 「港に繋がっていた9頭は本当にかわいそうでした」と、書かれておられました。

 



私事ですが。。。

 人間として、本当にしなければならないことというのはいったい何なんでしょうか?!
以前、私は写真を学び、報道の道に進もうと考えていました。
しかし、ある時、知人から「報道写真家はそこに死にかけの人がいても、カメラのファインダー越しに
それを見つめられることが条件だ」と、淡々と語った。
私は散々考えた結果、「自分にはそれができない」ことを悟り、その後、自然を撮る写真家となりました。
そして、それが本来の自分にはやはり1番向いていることが最近わかってきました。

 今でも、実際にイルカたちの救助に向かうときは、絶好の被写体であり、良い写真が撮れるのを
分かっていながら、気がついたら記録用のネガフィルムの入ったカメラかデジカメしか持ってきてない!
というのが常。
これじゃ、いつまで経っても彼らの死体等の記録写真ばかりで、良い(売れる)写真が増えないわけだ〜!


その後、知床でのシャチ(オルカ)の情報は、海の哺乳類情報センターが環境指標動物としてとらえた研究として、以下のHPにまとめられています。
日本シャチ研究所 Japan Killer Whale Research http://www.shachi.info/


朝日新聞夕刊に荻野さんの取り組みが紹介
http://www.asahi.com/life/update/0803/006.html

”背びれの模様はクジラの「指紋」 個体識別に利用”

クジラ類の背びれの形や付近の模様などが1頭ごとに違うことを利用して、個体の識別を広める企画を、海にすむ哺乳類の観察を続ける荻野みちるさんが始めた。クジラ類の行動範囲や生態について一般の人にも関心を持ってもらう狙いだ。
クジラ類の個体識別はDNA鑑定で行われているが、背びれの形や付近の模様などが、まるで人間の指紋のように、1頭ごとに違うことがわかってきている。
これをもとにシャチ、イルカも含むクジラの仲間の個体識別が写真でも可能で、シロナガスクジラ、セミクジラなどのデータベースができている。
 荻野さんは「どこかで観察された個体だと確認できるのはうれしい話。
でも、個体数の回復が遅れていることの裏返しでもあり、その辺からクジラへの理解を深めてもらえれば」と話している。



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